2021年春季日本歯周病学会学術大会(Web開催)に参加しました②
投稿日:2021年7月21日
カテゴリ:スタッフブログ
第64回春季日本歯周病学会学術大会がコロナの影響によりオンラインでの開催となりました。
”ホームケア-う蝕の予防と知覚過敏の抑制-” 東京医科歯科大学大学院 う蝕制御学分野 大槻昌幸先生の発表を拝見させて頂きました。
口腔ケアは歯医者さんで行うプロフェッショナルケアと家で行うホームケアがあります。コロナ禍で歯科の受診を控えている方も多いため、家でできるホームケアがとても大切になっていると思います。
ホームケア用品には色々な種類がありますが、今回は歯磨き粉についてのお話が中心でした。
歯磨き粉にも色々な種類があって、成分により歯周病の予防、う蝕の予防、知覚過敏の抑制、ステインの除去など、目的よって色々と種類があるため、1人1人に合わせた歯磨き粉を選ぶことが大切です。
今回は、LIONの歯磨き粉の使い分けを説明します。
【乳幼児期(〜5歳)】
- Check-Up kodomo 500ppmf。
う蝕リスクが高い方には就寝前にはフッ素が歯面に滞留するジェルタイプのCheck-Up gel 500ppmf。 - うがいが苦手な乳幼児にはすすぎが簡単なCheck-Up foam。
【学齢期(6〜14歳)】
- Check-Up kodomo950ppmf。
う蝕リスクが高い方には就寝前にはフッ素が歯面に滞留するジェルタイプのCheck-Up gel 950ppmf。
【成人期〜高齢期(15歳〜)】
- 根面露出がない方にはCheck-Up standard 1450ppmf。
う蝕リスクが高い方には就寝前にはフッ素が歯面に滞留するジェルタイプのCheck-Up gel 1450ppmf。 - 根面露出がある方にはCheck-Up rootcare 1450ppmf。
- 高齢期にはすすぎが簡単なCheck-Up foam。
オススメの歯磨き粉を紹介しました。様々な種類があり、年齢やう蝕リスクによって使い分けることが大切です。フッ素は、よい働きもありますが使い方を間違えるとフッ素中毒などを起こす危険性もあります。特に小さいお子さんのいる家庭では大人用の歯磨き粉を間違えて使わないように注意することが大切です。
適切なホームケアとプロフェッショナルケアでう蝕の発症と進行を予防・防止することができます。う蝕予防には高濃度のフッ素が効果的です。フッ素には大きく分けて3つの働きがあります。
フッ素の3つの働き
酸の産生を抑制:虫歯菌の活動を抑制して、歯を溶かす酸を作らないようにします。
再石灰化の促進:虫歯菌によって作られた酸が歯を溶かした場合、唾液中のミネラルの歯への沈着を促すことで歯を修復します。
歯質強化:フッ素が歯の表面に作用して強い結晶となり、虫歯菌が作り出す酸から歯を守ってくれます。
また、食後すぐに歯を磨くことが長いこと推奨されていましたが、食べ物には酸性のものが多くエナメル質という歯の表面がやわらかい状態になってしまいます。唾液で回復しますが、その前に歯を磨くと削れてしまうので食後30分後の歯磨きがいいという意見があります。
歯磨き粉の効果的な使い方のポイント
適切量を使用する:1回の適切使用量は年齢によって異なります。6ヶ月〜2歳は3mm程度、3〜5歳は5mm程度、6〜14歳は1cm程度、15歳以上は2cm程度です。
使用後の洗口量を少なくする:歯磨き後の洗口量は15mlの水で1回の少量洗口が推奨されています。
知覚過敏は口腔内に露出した歯の象牙質という部分に、一時的に歯ブラシを当てたときに痛い事や冷たい水がしみることをいいます。エナメル質の内側の組織を象牙質といいます。象牙質全体には歯の神経に繋がっている管のような組織が集まっています。そのため、象牙質が露出すると痛みを歯の神経に伝えやすくなってしまいます。
歯医者さんでは知覚過敏のお薬を塗ったり、露出した部分を材料で埋めるなどの方法があります。ホームケアではブラッシング時に力を入れすぎないこと、歯肉が下がっている部分の歯の根の付近の汚れを丁寧にとること、知覚過敏の歯磨き粉を使う方法があります。
歯磨き粉の成分で硝酸カリウムは刺激の伝達を抑える効果や乳酸アルミニウムは細管を封鎖などの効果があるため、知覚過敏の歯磨き粉によく入っています。
ホームケアとプロフェッショナルどちらかだけでは充分ではないため、上手に組み合わせることが大切だと思いました。ホームケア用品は色々な種類があるため、患者さん1人1人の目的に応じて適切な物を歯科医師、歯科衛生士がおすすめすることが大切だと思いました。
その為にもいろいろな製品の情報等の知識をつけることも大切ですが、患者さんにお口の中の悩みを相談してもらえるように信頼関係を築くことがとても大切だと思いました。
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